特例子会社の障害者雇用を解説 | 優良企業の取り組み例をご紹介

特例子会社の障害者雇用を解説、優良企業の取り組み例をご紹介

特例子会社を設立すれば、障害者が働きやすい環境下で長く働けるので生産性の向上も期待できます。障害者雇用の機会が拡大されることで、障害の程度に合わせた働き方がしやすくなると双方にメリットが生まれます。
障害者雇用を円滑に進めるために、優良な取り組みを行っている企業を参考に雇用のポイントを考えてみましょう。

企業の障害者雇用取り組み事例1

障害者雇用取り組みの骨子として「着実に戦力になるように細かな積み重ねと仕事を評価する」ことを目標に掲げている特例子会社を、事例としてご紹介します。
この特例子会社は、主にIT事業を中心とした業務を行っている会社で、5名の障害者雇用を行いました。業務内容は、大手ショッピングセンター会員カード情報入力・格付け審査のための財務データインプットです。

実際に社内で対応している7つの行動

精神障害者雇用のノウハウの蓄積やサポート体制の強化、個人能力活用の可能性を目的として専門家や外部の支援組織の協力を得ながら7つのポイントに力を入れています。

・専門家を配置して適切な対応をとれるようにする
精神保健福祉士を採用し、労働意欲を向上させ自立心を促すようにしています。精神保健福祉士が職場にいることで、精神障害者の微妙な問題にいち早く気付き手厚いサポートができるようになり、精神の安定と仕事の定着の両立ができます。

・健康と仕事の両面でサポートできる体制を作る
精神障害者は日常的に不安を抱えやすく、それが仕事に対するやる気や自信に繋がっています。ちょっとした仕事のミスを引きずって健康を害さないようにワークサポート室を新設しました。

ここでは精神障害者から相談を受けたり、医療機関や就労支援機関と連携し不安を取り除いたりすることで安定して仕事を続けられるように対応しています。また、障害者雇用の担当者にアドバイスをして社内勉強会や見学者の対応にも役立てています。

・理解を得ることを大事にする
東京事務所では医療施設などを訪ね、精神障害について最新の情報収集を行いました。この情報を社内で共有し理解することで、精神障害者に違和感を持つことなく業務を遂行できるようにしています。

・面談室の配備
精神障害者が仕事に集中しやすいように壁や窓際に席を確保するなどの工夫がされています。また、就業中に不安を感じた時に対応できるように面談室が用意されています。

・ジョブコーチの採用
ジョブコーチは精神障害者が職場に適応できるよう支援計画に基づき、様々な面から直接支援を行います。本人だけでなく事業主、職場の従業員に対しても、必要な助言をすることで支援体制を促進し、障害者の職場定着を図っています。積極的にジョブコーチと関わることで、精神障害者を理解し人間関係をスムーズにすることができるのです。

・業務をマニュアル化してわかりやすくする
精神保健福祉士を交えてすべての業務にマニュアルを作成しています。どうすれば円滑な業務を進められるのか、精神保健福祉士と会計士で打ち合わせした上で作成しますので全員のレベルが安定してアップしました。

精神障害者に難しいと思われる業務も、マニュアルを作成することで業務を安定させ当人たちに自信を持たせることもできたのです。

・1人ひとりとの課題を解決する方法を探す
精神障害者の中には、躁鬱で集中力がなく、注意力散漫で仕事への意欲が持てなくなるだけでなく「臨機応変な判断が苦手」「複雑な作業ができない」「新しいことに不安が強い」人もいます。

このように、一人ひとりの特性によって起こってしまう課題をクリアするための方法を精神保健福祉士とジョブコーチと協力して取り組んでいます。

出典:https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/shisaku/jirei/dl/jirei10.pdf

定着する職場環境にするための3つの行動

就労する意欲があれば、障害者雇用で就職することはできますが、会社に定着するためにはクリアすべき課題があります。安心して働けるような職場環境に整えるための3つの行動を紹介します。

・1つ1つ丁寧に仕事ができるようにしていく
精神障害者はいくつものことをまとめて解決するのを不得意としています。そのために、できないことで自信をなくし、不安感が強くなり仕事が続けられなくケースが多いのです。そこで急がずに1つ1つ丁寧に仕事ができるように、3ヵ月を区切りに同じ業務を繰り返して自信を持たせることにしました。

・評価を可視化してモチベーションアップにつなげる
仕事の進捗状況やミスなどをグラフ化することで、評価をしやすくすると共に個人が自分の苦手なところを知ることで向上心のアップを目指しています。

・社会に必要な人と思ってもらうように責任を指導
仕事は評価され、それを励みにしてスキルアップするものです。それを理解してもらうためには「適切な評価は受けられるべきで、職員は評価を糧にレベルアップするものである」ことを教育しています。

また、本人が評価を受け入れやすいように会社側と雇用者が信頼関係で結ばれていること、本人が会社から必要な人材だからこそ、正しく評価されるのだというメッセージを本人に伝わるようにしています。

出典:https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/shisaku/jirei/dl/jirei10.pdf

企業の障害者雇用取り組み事例2

次に、ハウス水耕栽培による野菜の栽培及び販売を行う特例子会社の障害者雇用の事例を紹介します。特例子会社を設立して農業へ参入する企業が増えているだけでなく、障害者福祉施設が農業を行うケースや事業者の職場で障害者が作業を行う「施設外就労」という働き方も注目されています。

働き方を工夫

障害者雇用を農業に取り入れる要因として、「貴重な戦力」「労働力の確保」「作業見直しによる効率化」があります。農作業は、播種、育苗、定植、収穫と決められたルーティン繰り返す単純作業であるために、障害者にわかりやすく取り組みやすい作業です。

・毎日働けるように安定して仕事を出せる環境を作る
ビニールハウスを活用した水耕栽培は、安定した生産を計画的に行えるので変化に弱い障害者に向いています。また、作業能力を考慮した職場設計や仕事設計によって毎日就労の場が提供できます。

・イラストなどを使いよりわかりやすくする
作業の流れを理解してもらうために、最初はイラストを使って作業内容を表示したり、数読みのための仕切り箱等を使ったりしていました。現在では、障害者同士で仕事を教えあいながらスキルアップに繋げています。

・頑張りをしっかりと評価する
モチベーションアップだけでなく、どのような作業や行動が正しいのかを理解し実行できるように毎日の終礼で「頑張るシール」を授与し評価しています。また毎月MVPを決めて賞品を渡すことで「頑張ることは評価に繋がる」と認識できます。

定着率をあげるための工夫

障害者の特性を活かした根気の必要な作業も、特性を活かした配置にすることで定着率をあげています。

・仕事を単純化、分割できるようにする
仕事を単純化や分割することはコスト削減に繋がるだけでなく、モチベーションのアップにも繋がります。農業は作業を単純化・分割できるだけでなく、作物と関わることで精神的な安定を生みますので障害者も安心して取り組めるのです。

・やりがいを感じられる職場環境を作る
自分が作ったものを自ら収穫し、販売に繋げられることは障害者のやりがいになります。このような職場環境は、障害者のモチベーションアップ・やる気にも繋がり、仕事への定着を促すでしょう。

出典:https://www.maff.go.jp/j/nousin/kouryu/attach/pdf/kourei-54.pdf

優良企業から学ぶ良い点

障害者雇用拡大に向けて優良企業から学ぶべきことはたくさんあります。それは障害者と一緒に学ぶ姿勢であったり、障害者の側に立った視点での取り組みだったりになります。優良会社から学ぶポイントを、3つご紹介します。

障害者の能力をしっかり評価する

パソコンなどの専門知識が必要な業務でも、同じことを繰り返すことで確実なスキルアップに繋がります。また業務マニュアルを作成することで効率化を図り「やればできる」気持ちを障害者に持たせています。

また目標を立てて作成し、それを報告することで実績を形に残し評価をしています。評価を受けることで、自分の得意や不得意を当人が把握し、確実にレベルアップできるようにポイントをつかみやすくしています。

やる気や仕事への情熱を見る

レベルに達していない業務を無理にやらせるのではなく、時間をかけて理解しスムーズな業務を遂行できるように外部からのサポートを入れながら配慮しています。

特性によっては、毎日同じ仕事の繰り返すことで自信を持ちやる気が出る場合もありますし、レベルアップと共に新しい業務につかせることで情熱的に仕事に取り組んでいけます。

本人のやる気や仕事での、普段の仕事の様子だけでなく実績を正しく評価し判断することで信頼関係が生まれ仕事の定着へと繋げています。

社内で仲間として働けるように環境を整える

障害者と接する機会がなかった人は「接し方がわからない」「理解してもらうための接し方」で悩むことが多くなります。このようなことが原因でコミュニケーションが上手くいかなかったり、業務に支障が出ないようにしたり就労支援機関に積極的に相談し、ジョブコーチと指導法の見直しや改善を行っています。

また、関係者を集めて支援者会議を行うことで、問題を解決するにはどうすればいいかを話し合い、助言の仕方を学んでいます。問題をそのままにせずに、理解し解決していくことでお互いに仲間である意識を高めています。

出典:https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/shisaku/jirei/dl/jirei10.pdf

まとめ

優良企業では、障害者の特性を理解し配慮ができるように、精神保健福祉士やジョブコーチなどを交えて働きやすい環境整備がされています。また、障害者雇用や就業相談に対応する窓口の設置や外部の支援機関と連携体制を作り専門部署を作るなど、障害のある社員の定着率を高める工夫もされています。

障害のある社員も、業務内容を習得することができれば、安定した戦力になります。そのためには、就労支援機関との連携を上手く取りながら、安心して仕事に取り組める環境を常に考えていくことが大切です。

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